包丁の使い方

毎日使う包丁、その使い方を正しく知っていますか?

正しい持ち方と姿勢を意識するだけで、料理はもっと安全で楽しくなります。
また正しく使うことで大事な包丁をいつまでも長く使い続けることにも繋がります。

包丁の部位と役割

包丁を正しく使うためにはまず、包丁の種類と部位を正しく知るところから始めましょう

包丁の部位


部位の名称 用途
切っ先 刀身の先端の尖った部分。野菜の飾り切りや、魚の筋を切るなど、細かい作業や切り込みを入れる際に使用出来ます。
刃元 ハンドルに近くコントロールしやすいので皮むきなどの繊細な作業や、出刃包丁などで骨ごと叩き来る際に使用出来ます。
顎(あご) 刃の根元、柄に近い角の部分。じゃがいもの芽を取ったり、硬い野菜のヘタを切り落としたりする際に、力を入れやすい場所です。
峰(みね) 刃の反対側、背の部分。厚みがあるため肉を叩いたり、魚のうろこ取りをする際にも使用出来ます。
腹(はら) 腹の平らな箇所を利用してニンニクなどを潰す際に利用出来ます。

包丁は正しく研げていますか?

包丁の「使い方」で、切り方と同じくらい重要なのが「切れ味」です。

「切れない包丁」は、無駄な力を込めてしまい、刃が食材の上で滑って怪我につながるため、実は一番危険です。

安全で効率的な調理のため、砥石を使った「正しい研ぎ方」で、包丁本来の切れ味を保ちましょう。

包丁の基本姿勢

包丁を使う時の基本的な姿勢
①まな板との間に適切な距離を取る
②右足を半歩後ろに引き45度に構える
③食材を真上から見下ろせるようやや前かがみになる

手の添え方

①丸みのある食材の押さえ方
人参や大根などの丸みがある食材は、指先をその形に添って置いて押さえる。
②バラバラになりやすい食材の押さえ方
ネギなどのバラバラになりやすい食材は指先でまとめるように押さえる。

包丁の持ち方

包丁は使う目的によって持ち方がいくつかに分かれます。
包丁に正確かつ効率的に力を伝えるためには、切る前にまず包丁をきちんと持つことが大事になります。

正しく包丁を持つことによって、長時間使っていても疲れない利点があり、包丁を意のままに動かせるようになります。

①握り型

薄刃包丁や出刃包丁など様々な包丁を持つときに用いる基本の包丁の持ち方

②指差し型

包丁の切っ先まで神経が行き届き、細かい切り方をするのに適した持ち方

③押さえ型

包丁の切っ先まで神経が行き届き、細かい切り方をするのに適した持ち方



他にもこのような持ち方があります。

④逆包丁
包丁の刃を上の向けて持ち、切ることを「逆包丁(さかほうちょう)」と呼びます。
人差し指を包丁のはらに当てる持ち方で、魚の下処理によく使います。

⑤刃元でたたく
主に出刃包丁の刃元で、魚の骨をたたき切ったり、身を細かくたたいて刻みたいときに適した持ち方。
角巻の部分が見えるくらい柄尻の包丁軽く握り、包丁の重みをうまく利用して、手首だけで振るようにして刃元で切る。


包丁の切り方

食材を切るときに、この方法で合っているのか迷ったことはありませんか?

野菜を切るのしても、正しい切り方をすることで料理の出来栄えや見栄えが大きく変わるため、包丁の切り方は重要な作業になります。

何よりも綺麗に切れることによって、料理が楽しくなります。



押して切る、引いて切る?

包丁は前後に刃を動かして切るのですが、切り方として主に「押し切り」と「引き切り」の二種類があります。

押し切り

押し切りは切っ先から刃元へ前に押し出すようにスライドさせながら切ります。

包丁の重みを利用して切ることが出来るため、野菜や肉など繊維の硬い食材を切るのに向いている切り方です。

引き切り

包丁の刃元から切っ先に向けて滑らすように切ります。

引き切りは魚など繊維が柔らかに食材を切ることに向いており、柳刃包丁で刺身を引くときなどが代表的な切り方になります。

野菜の切り方

野菜は料理に合わせて切り方を変えることで、日の通りが均一になったり、味の浸み込みやすくなったり、食感が良くなったりするため重要です。

野菜の切り方


①輪切り

きゅうりや大根、にんじんといった筒状の野菜を、端から垂直に一定の厚さで切る方法です。サラダ煮物炒め物まで幅広く使われる最も基本的な切り方です。

②半月切り

半月切りは、大根やにんじん、きゅうりなどの筒状の野菜をまず輪切りにし、それをさらに縦半分に切る方法です。切り口が半月の形に見えることから、この名前がついています。

③イチョウ切り

いちょう切りは、その名の通り、切り口がイチョウの葉の形に似ていることから名付けられた切り方です。半月切りをさらに半分にした大きさで、特に根菜でよく使われます。

④千切り

野菜を薄切りにしてから、それを重ねて端から細い糸状に切る方法です。キャベツやきゅうりをサラダにしたり、しょうがやみょうがを薬味にしたりと、食感を活かしたいときに使います。

⑤みじん切り

千切りにした野菜をさらに細かく刻む方法です。ハンバーグの玉ねぎやミートソースチャーハンの具など、食材の形をなくして風味を全体に行き渡らせたいときに使われます。

⑥乱切り

にんじんやきゅうりなどの野菜を回しながら、斜めに包丁を入れて不規則な形に切ります。断面が広くなるため味が染み込みやすく、カレーシチュー筑前煮といった煮込み料理に最適です。

魚の捌き方

魚の捌き方


①三枚おろし

魚を上身・下身・中骨の3つのパーツに分ける最も基本的な方法です。アジ、サバ、タイなど、ほとんどの魚に応用できます。

②二枚おろし

片側の身だけを骨から外し、身と、骨の付いた身の2つのパーツに分ける方法です。キスやメゴチなど、身が薄く小さな魚を天ぷらにする際などに使われます。

③大名おろし

三枚おろしの簡易版です。主にイワシやアジなどの小さな魚で使われます。腹の骨をすき切らずに、中骨ごと身を切り離すため、早く捌けますが、骨に身が多く残りがちです。(骨に身が残るのを気にしない=贅沢、という意味で「大名」の名がついたと言われています。)

④五枚おろし

ヒラメやカレイといった平たい魚に特有の捌き方です。背ビレ側と腹ビレ側の縁側を含めて、上身2枚・下身2枚・中骨の合計5つのパーツに分けます。


著者紹介About the author

堺一文字光秀

渡辺 潤

自社ブランド「堺一文字光秀」の販売、包丁研ぎ、銘切りをしており、その視点から感じたことや疑問を皆様にお伝えさせていただきます。

監修
一文字厨器株式会社(堺一文字光秀)
〒542-0075 大阪府 大阪市中央区難波千日前 14-8