製造工程

包丁の作り方。受け継がれてきた伝統の製造工程

長年多くの職人たちが積み重ねてきた包丁造りの技。伝統を守りながらも、最新技術を取り入れ進化し続ける包丁の製造工程について、伝統の包丁ブランド、堺一文字光秀が語ります。

製造工程で包丁の実力が決まる

「最新素材を使用!」「新技術!」多くの謳い文句が広告に溢れている昨今。

これだけ技術が発達した世の中だと、素晴らしい切れ味を持ちながらも一生研がなくて良く、絶対に錆びずに欠けなずにリーズナブルな素材が生まれてそうなものです。

残念ながら今のところ夢のような素材は生まれておらず、鋼材はメーカー様の努力で少しずつ改良され、製造工程を助ける機械は生まれているものの未だに人の手で仕上げた包丁の実力が、機械生産の包丁の能力を上回っています。

人の手が関わる部分なので、当然工程を取り入れる人も、コストカットのために省く人も、丁寧にやる人もスピーディにこなす人もいます。

要はどんな鋼材を使うかと同じくらい、場合によってはそれ以上包丁の実力に非常に大きな影響を及ぼすのが、製造工程なのです。

包丁の実力を決める要素は大きく3つ、細かく8つあります。こちらで詳しく解説しています。

良い包丁を構成する要素

更に細かく、包丁の実力要素を縦に、工程を横に並べてどの工程がどの要素に関わるのかを示したのが下記です。

要素要素(分解)素材鍛冶(熱処理)刃付け柄付け
切れ味永切れ
入りやすさ
進みやすさ
バランス持ちやすさ
力の伝わりやすさ
メンテナンス性錆びにくさ
研ぎやすさ
欠けにくさ

上記の図において「鍛治・刃付け・柄つけ」が工程にあたります。切れ味、バランス、メンテナンス性、どれも工程によって大きく実力が変わります

これは洋包丁、和包丁ともに言えることですが、価格の差は鋼材それ自体と言うより途中工程によるものの方が大きいです。

包丁業界によって工程にフォーカスを当てることは避けられていましたが、包丁の切れ味や品質にこだわるにあたって、素材よりもむしろ大切なのはこの「工程」です。

これまで多くの包丁を販売、プロデュースしてきた堺一文字光秀が「工程」について解説します。

高い包丁と安い包丁は製造工程がどう違うの?

比較的安価でも実現できていること

  • 買った直後の切れ味
  • ダマスカス模様
  • 見た目を真っ黒にする、コーティングをする
  • 高級鋼材を使用する
  • 派手なハンドルをつける

とくに商品レビューの高評価はほとんどが買った直後に書かれたものです。もちろん実際に購入された方の意見は非常に参考になりますが、切れ味が落ちるまでの時間、及び切れ味がどう戻るかが包丁の実力と言えます。

工程にコストがかかり、値段に跳ね返ってしまうこと

  • 刃が半分になるまで研いでも切れ味を持続させる
  • 薄く、固く仕上げる
  • 鋼材のポテンシャルを最大限引き出す

プロ向けに長く包丁を提供してきた職人、メーカー、販売店にとっては最初の切れ味よりも、メンテナンス性が高かったり、長くよく切れる刃の方が重要です。

そういった価値を追求すると「薄く、固く、歪ませず」という相反する要素を両立させないといけないため、ロスも出やすくどうしても大量生産はできません。

大量に作れないのであれば手仕上げになってしまいますし、値段にも跳ね返ってきてしまいます。

しかも見た目にはわかりにくいのです。

和包丁の作り方。伝統ある打ち刃物の技術

和包丁の工程は、43あります。その中のほとんどの工程が手作業で、キモになる焼入れや刃付け工程はとても難しいものです。製造工程を理解することで、あなたも自分の道具への理解が深まり、より実力を引き出せることでしょう。

著者紹介About the author

堺一文字光秀

田中諒

「切れ味で、つなぐ」堺一文字光秀三代目当主。 職人の技術と歴史、そして包丁にかける思いを皆様に届けて参ります。 辻調理師専門学校 非常勤講師 朝日新聞社 ツギノジダイ ライター

監修
一文字厨器株式会社(堺一文字光秀)
〒542-0075 大阪府 大阪市中央区難波千日前 14-8