包丁の錆止め
包丁を使う上で避けて通れないので錆びるという事です。
特に鋼の包丁は少しでも手入れを怠るとすぐに錆びてきますし、錆びに強いと言われているステンレス鋼であっても気を抜くと錆びるという事があります。
錆びてしまいますとせっかくのいい包丁の寿命を縮めることになりますので、お手入れはきちんとしていただく必要があります。
なぜ錆びるのか
包丁が錆びる原因の犯人は主に二つで「水」と「酸素」になります。
逆を言えば二つのどちらかがなければ包丁が錆びることはほとんど有りません。
錆びは、対象となる金属(鉄)の表面上で水と酸素が酸化することで起こる化学反応です。
もともと鉄は人が使いやすいよう加工された金属で、錆びると言うのは元の自然な姿である鉄鉱石(酸化鉄)に戻ろうとしている自然現象にすぎません。
ただ鉄にとっては自然な姿に戻る現象であっても、人にはとても困る事です。
一度包丁が錆びてしまいますと切れ味が悪くなったり、刃こぼれしてしまったりすることもある上に、切った食材に錆びが色移りしてしまい見栄えの悪い料理になってしまう恐れもあります。
錆びないようにするために必要なこと
上に書いています通り、錆びは水と酸素が結びつくことによって発生します。
地球上に住んでいる以上、酸素をなくすこと(死んでしまいますから)は出来ないので水気をなくしてもらうことが大事になります。
ですが、これは皆さんご存じのことなのですが、それでも錆びてしまったという方が沢山います。
これは水気をきちんととったように思っているのですが、それでも水分が残っているのです。
包丁が汚れている
これで一番錆びる原因だと思いますが、包丁に汚れが付着している場合です。
錆びは水と酸素が結合することによって起こりますが、汚れが媒介となって錆びるスピードを早めてしまいます。
なので包丁はしっかりと「中性洗剤」と「スポンジ」で洗ってください。
拭き足りていない
包丁洗った後、布きんなどでふいているのに錆びてしまった。
これは実はしっかりと拭き取っているようで完全に水気を拭き取れていないのです。
いくら乾いた布でも一回や二回では水気を完全に吸水は出来ません。
目で包丁を確認して、水気がきちんと取れているか確認してください。
拭いた後すぐに包丁入れに収納する
包丁は危ないので拭き終わったらすぐに収納したいと思うのですが、これで錆びる原因になる時もあります。
上に書いています通り拭いていても刃の表面にはうっすらと水気が残っている可能性があります。
風通しの良いところで五分ほど置いていただくだけで錆び防止になります。
包丁を長期間使わない時
毎日使う三徳包丁などと違い、出刃包丁や柳刃包丁など使う頻度が少ない包丁は収納場所の奥に保管している方が多いと思います。
特に和包丁は鋼の包丁が多く錆びる可能性が高く、特に注意する必要があります。
その場合の保管方法ですが、まずは上記に書いています通りきちんと洗ってもらい水気を拭き取ってください。
ここをきちん水気を拭き取ってもらわないと、包丁が大きく錆びて致命的なダメージが出てしまいます。
刃物用油を使用する。
これだけでも錆びの対策としては問題はありませんが、当社としましては刃物油で刃全体を油拭きしていただく事をお勧めします。
錆びは水と酸素が結びつく事で発生しますが、油拭きで刃の表面に皮膜を作り酸素と結びつかないように出来ます。
この刃物油は植物由来の椿油ですので、不乾性油と言われる乾きにくい油で長期間の保管に向いています。
サラダ油は控えてください。
刃物油の代用でサラダ油を使っても大丈夫かと聞かれることがあります。
サラダ油の大半が乾性や半乾性といわれるもので、時間の経過とともに乾きやすくべたべたになっていきます。
そして油自体が酸化することもありますので、長期間の保管には向いていません。
新聞紙などで包んで保管する
お手入れが終わった後そのまま包丁差しなどに収納されるかと思いますが、可能ならば新聞紙などに包んで保管することお勧めします。
キッチンなどの水回りはどうしても湿度が高くなりがちなのでそれによる錆びの可能性もあります。
なので安全を見るのでしたら、新聞紙に包んで保管がいいです。
新聞紙は通気性もそれなりに高く、油分が高いので長期の保管には向いています。
著者紹介About the author
堺一文字光秀
渡辺 潤
自社ブランド「堺一文字光秀」の販売、包丁研ぎ、銘切りをしており、その視点から感じたことや疑問を皆様にお伝えさせていただきます。
- 監修
- 一文字厨器株式会社(堺一文字光秀)