包丁の寿命

包丁の寿命ってどのくらい?親から子へと受け継がれて使われることもある包丁ですが、その寿命は何年くらいあるのでしょうか。またどのような状態になった場合に買い替えが必要なのか、捨て時に関してもご説明します。

包丁はいつまで使えるの?

寿命なので処分してほしいと持ってこられた包丁を見ますが、そのほとんどがまだ使える物ばかりです。

ただその場合の使えるとは、まだ刃が付くを言う意味になります。

刃が付くかぎりは包丁はまだまだ使用できるので、どんな安い包丁でも実はとても長持ちするものなのです。

中には30~40年単位で大事に使い続けている方もいらっしゃいます。

刃の寿命

鋼がなくなった時が寿命です。

包丁の寿命とは研いでも刃が付かなくなった時が寿命となります。

さらに詳しく言いますと、刃が付くと言うのはまだ鋼が残っている状態の事です。

ただ包丁の種類によって構造が違いますので、それによってどこまで鋼が入っているかが異なります。

全鋼(本焼き)と合わせ(割込み)

この場合の包丁の構造と言うのは「全鋼(本焼き)」「合わせ(割込み)」の二種類になります。


包丁の構造(断面)
  1. 全鋼(本焼き)
    その名の通り全てが鋼で作られている包丁です。

  2. 合わせ(割込み)
    鋼だけでなく、軟鉄やステンレスに合わせて作られている包丁です。

合わせ(割込み)には注意です。

全鋼の包丁は全てが鋼ですので、基本的にはどこまででも研いで刃を付けることが出来ます。(※本焼きを除く)

本焼きは全てが鋼で作られていますが、焼き入れ時に刃の半分の硬度を落として熱処理されていますので最後まで刃を付けることが出来ません。



ですが、合わせの中には「割込み」「三枚合わせ」の両刃の二種類に分類分けされます。

両刃包丁の構造



上の図を見ていただくと分かりやすいですが、三枚合わせの場合は峰の最後まで鋼が入っていますが、割込みは包丁の半分までしか鋼が入っていません。

そのため割込みの包丁は半分まで研ぎ減らしていきますと、鋼がなくなりますので他の構造のものよりも寿命は短くなります。

柄の寿命

上に書いていますのは、あくまでも刃の寿命になります。

そして包丁の寿命にとって、もうひとつ重要な箇所があります。

それが「柄(ハンドル)」です。

柄次第で使用出来なくなることもあります。

包丁を使っていて、刃には注意を払っている方でも柄の手入れを見落としている方はたくさんいます。

そして知らず知らずの内に柄がボロボロに朽ちてしまったと言ったケースが多々あります。

そうなってしまいますと、刃は綺麗でまだまだ使えるのに、柄がボロボロのため修理することが出来ずに使用不可能になることもありますので、刃と合わせて柄の手入れもきちんとする必要があります。

柄の寿命はいつ

柄の寿命は中子が傷まない限り使用できます。

和包丁、洋包丁問わず柄のお手入れで注意することは、その中子の錆びささないことです。

柄の本体である木材は、使用していくことで傷んでくることは仕方がありません。

ですが、包丁の中子は柄と包丁をつなぎ合わせる土台になりますので、その中子が傷まないように手入れをする必要があります。

和包丁と洋包丁では柄と中子の構造が異なりますので、それぞれ手入れ方法が変わってきます。

和包丁の場合

和包丁は中子を柄に差し込みだけのシンプルな作りなっています。

一番注意していただく事は差し込み口の隙間から水が入らないようにすることです。

隙間から水が入る込むことで中子が錆びることがあります。
そのため当社では柄据えの時ににボンドで隙間を埋めて水が入らないようにしています。

和包丁の柄の修理

もう一点和包丁の柄は経年劣化でひび割れすることが多いです。
ひび割れから中に水が入りますので、ひび割れが発生した段階で早急に柄交換をしていただくことをおすすめします。
放置していますと、中子が錆びて細くなり柄に差し込めなくなる恐れがあります。

洋包丁の場合

洋包丁は中子の両側から木材で挟んで、鋲止めする作りが一般的です。
また木材も強化合板を使用していますので、柄自体が和包丁より耐久性が高いです。

洋包丁の柄の修理

ですが、注意していただきたいのが中子と木材の継ぎ目の箇所です。
その継ぎ目に水気が残りやすく中子が錆びる可能性があります。
特に鋼の包丁は注意が必要です。

錆びを放置していますと、中子が錆びで膨れ上がって鋲が緩んでで柄がガタガタして非常に危険です。
中子の錆びの状態によっては修復できなくなる恐れもあります。

そのため柄を拭くときは継ぎ目の箇所に水気が残らないようにしていただき、その後しっかりと乾かしてください。

柄の交換は早くしましょう。

上記に書いています通り、柄の木材が傷んでくると中子が錆びてきます。

中子の錆びが酷くなると柄交換することが出来なくなることが多いので、木材が傷んできたら出来る限り早く柄の交換をすることをお勧めします。

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著者紹介About the author

堺一文字光秀

渡辺 潤

自社ブランド「堺一文字光秀」の販売、包丁研ぎ、銘切りをしており、その視点から感じたことや疑問を皆様にお伝えさせていただきます。

監修
一文字厨器株式会社(堺一文字光秀)
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