鏡面仕上げ
自分の包丁も鏡のように美しく仕上げたい方にご自分の包丁を鏡面にする方法や鏡面を保つ方法など、鏡面仕上げのついて、伝統の包丁ブランド、堺一文字光秀が語ります。
包丁を鏡面にするメリット
見た目が美しい
錆びに強くなる
愛着が増す
自分でも鏡面にすることは出来る?
新品の包丁の場合はバフモーターを使って、刃を鏡面にしています。
それを自分でも出来ないかと言った質問が多いですが、やり方次第ではその鏡面に近づけることは可能です。
包丁を鏡面にするのに特別は技術などはなく、必要なのは根気だけです。
ただひたすら根気よく、丁寧に磨き続けるだけです。そしてより手間をかけるほど光り輝く鏡面になっていきます。
なので粘り強く磨き続けてください。
錆びた包丁を鏡面にしてみました。
鏡面にするのに必要な道具
今回鏡面に磨き直すのに下の道具を使用します。
- 耐水ペーパー #120・#240・#600・#1000・#1500
- 漆塗り用クリスタル砥石 #2000・#3000
- 液体コンパウンド(鏡面職人)
- ダイヤモンドペースト(#10000・#12000)
磨く前に
鏡面にする平の箇所がデコボコがあると鏡面にムラが出来ます。
砥石などでフラットな状態にしてからの方がよりきれいな鏡面に仕上がります。
①耐水ペーパー
鏡面にする工程で一番大事なので耐水ペーパーで磨くときです。
耐水ペーパーでしっかりと鏡面にする下地を作っておかないと、深いキズが残ったままになったり、光沢にムラが出来ます。
まず一番荒い#120の耐水ペーパーで磨いていきます。
手で直接磨いてもいいですが、当て木などに耐水ペーパーを付けて磨いたほうがより均一に磨くことが出来ます。
磨き方として必ず、一方向に磨いてください。
色々な方向に磨いてしまいますと、磨き傷が残りやすくなります。
この#120の段階で必ず錆びを落とさないと綺麗な鏡面にはなりません。
磨き傷が揃ってきたら次の番手に順番に上げて磨いていきます。
右の画像に進むにつれて、縦の筋が細くなっているのが分かります。
番手を上げるごとに、この筋を均一にするように磨いていくのがコツです。
②クリスタル砥石でさらに磨く
耐水ペーパーは#2000までが多いので、漆塗りの水研ぎ用の「クリスタル砥石」でさらに細かく磨いていきます。
このクリスタル砥石は目詰まりが起こりにくく、安定して磨き続けることが出来るのでお勧めです。
この工程で目立つ傷が残っているとこの先に進んでも傷が消えないので根気よく磨いてください。
この段階でかなり写り込むまで光沢が出てきています。
ただまだ筋が目立つのでさらに磨き込んでいきます。
③液体コンパウンド(鏡面職人)で磨く
これより先は液体コンパウンドでさらに細かく仕上げ磨きをしていきます。
包丁用の液体コンパウンド「鏡面職人」を使用します。
鏡面職人はペースト状なので、クロスに付けて磨きます。
この段階まで来ると、光加減で筋が分かるくらいまで薄くなってきています。
光沢も大きいので、写り込む文字がくっきりとしてきました。
④ダイヤモンドペーストで磨く
これよりさらにクリアな鏡面するためにダイヤモンドペーストで磨きます。
磨き終わったら、洗剤などでしっかりと洗浄してください。
ここまで磨くとほぼ鏡のレベルまで光沢が出て、写り込む文字もはっきりと分かります。
鏡面前と鏡面後
ここまでにかかった時間
- 耐水ペーパーで約3時間
- クリスタル砥石で約一時間30分
- 鏡面職人で約30分
- ダイヤモンドペーストで約45分
トータルで約6時間ほど時間をかけて磨き続けました。
柳刃包丁は磨く面積が少ないので、この時間で終わりましたが出刃包丁や薄刃包丁がもっと時間がかかりますし、牛刀などの両刃の包丁は両面磨くので倍以上の時間が必要になります。
鏡面作業は楽しいです。
上記の通り鏡面にするにはとても時間がかかりますが、その時間が忘れるくらい楽しい作業でした。
刃全体が錆びていた包丁が、だんだんと綺麗になっていく工程はやっていても気持ちが良いです。
ピカピカに仕上がった鏡面を見ると達成感がとてもあると思います。
皆さんもぜひチャレンジしてみてください!
著者紹介About the author
堺一文字光秀
渡辺 潤
自社ブランド「堺一文字光秀」の販売、包丁研ぎ、銘切りをしており、その視点から感じたことや疑問を皆様にお伝えさせていただきます。
- 監修
- 一文字厨器株式会社(堺一文字光秀)