柄の交換

柄の手入れ

包丁を使っていて、刃には注意を払っている方でも柄の手入れを見落としている方はたくさんいます。

そして知らず知らずの内に柄がボロボロに朽ちてしまったと言ったケースが多々あります。

そうなってしまいますと、刃は綺麗でまだまだ使えるのに、柄がボロボロのため修理することが出来ずに使用不可能になることもありますので、刃と合わせて柄の手入れもきちんとする必要があります。

手入れで気を付けること

和包丁、洋包丁問わず柄のお手入れで注意することは、中子の錆びささないことです。

柄の本体である木材は、使用していくことで傷んでくることは仕方がありません。

ですが、包丁の中子は柄と包丁をつなぎ合わせる土台になりますので、その中子が傷まないように手入れをする必要があります。

和包丁と洋包丁では柄と中子の構造が異なりますので、それぞれ手入れ方法が変わってきます。

和包丁のお手入れ

和包丁は中子を柄に差し込みだけのシンプルな作りなっています。
一番注意していただく事は差し込み口の隙間から水が入らないようにすることです。

隙間から水が入る込むことで中子が錆びることがあります。
そのため当社では柄据えの時ににボンドで隙間を埋めて水が入らないようにしています。

和包丁の柄の修理


もう一点和包丁の柄は経年劣化でひび割れすることが多いです。
ひび割れから中に水が入りますので、ひび割れが発生した段階で早急に柄交換をしていただくことをおすすめします。
放置していますと、中子が錆びて細くなり柄に差し込めなくなる恐れがあります。

洋包丁のお手入れ

洋包丁は中子の両側から木材で挟んで、鋲止めする作りが一般的です。
また木材も強化合板を使用していますので、柄自体が和包丁より耐久性が高いです。

洋包丁の柄の修理


ですが、注意していただきたいのが中子と木材の継ぎ目の箇所です。
その継ぎ目に水気が残りやすく中子が錆びる可能性があります。
特に鋼の包丁は注意が必要です。

錆びを放置していますと、中子が錆びで膨れ上がって鋲が緩んでで柄がガタガタして非常に危険です。
中子の錆びの状態によっては修復できなくなる恐れもあります。

そのため柄を拭くときは継ぎ目の箇所に水気が残らないようにしていただき、その後しっかりと乾かしてください。

柄の交換

和包丁の柄交換

和包丁はもともと柄を定期的に交換しながら使っていくものです。
そのため比較的簡単に柄の交換をすることが出来ます。

柄の交換のタイミング

手入れ方法にも書いています通り、柄は知らず知らずのうちに傷んできます。
そして中子が錆びて修理できなくなる場合もありますので、重度になる前に修理することをおすすめします。

以下の時が柄交換をするタイミングになります。

  • 柄がひび割れした時
  • 水牛などの口輪が割れたり、外れて差し込み口に隙間ができた時
  • 柄が擦り減って小さくなった時

交換に必要な道具

柄交換そのものは簡単にできますが、交換するのに必要な道具があります。

  • ①木槌
  • ②ガスバーナー(コンロでも可能)
  • ③木の切れ板
  • ④金槌
  • ⑤ヤスリやサンドペーパー
  • ⑥ボンドやシリコン

このうち「木槌」、「ガスバーナー」は必ず必要になります。

柄交換方法

①傷んだ柄を取り外す

柄を取り外す

今ついている柄を取り外す必要がありますが、中子がしっかりと差し込まれている場合もあります。
木槌と木の切れ板を使用します。

木の切れ板を柄の上部に当てて、木槌で叩いてください。
そうすることによって、柄から刃がどんどんと抜けていきます。

②中子の錆びを取る

中子の錆びを取る

中子の状態によっては錆びがひどい場合があります。
放置していますと錆びが広がりますので、ヤスリやサンドペーパーを使用して中子を磨いて錆びを取り除いてください。

ポイント

もし錆びがひどく膨れ上がっている場合は、ガスバーナーで中子を軽く焼いてください。そのあとに木槌で中子を軽く叩くと膨れ上がった錆びが剥がれてきます。

③中子の曲がりを直す

中子の曲がりを直す

中子を確認して、もし曲がっていたら金槌で中子を叩いて真っすぐにしてください。
中子が曲がったまま柄を差し込みますと刃も同じように曲がったままになります。

中子が真っすぐでしたら、そのままで大丈夫です。

中子は必ず真っすぐにします

④中子をガスバーナーで焼いてください

最初柄の差し込み口は中子より狭くなっていますので、そのまま差しても入りません。
そのため中子をしっかりとガスバーナーで焼いてください。(ガスコンロでも大丈夫です)



中子をバーナーで焼く

アドバイス

刃まで焼いてしまいますと硬度が落ちて切れなくなりますので、焼くのは中子だけにしてください。

⑤中子を柄に差し込んでください。

中子を柄に差します

焼いた中子を柄に差し込んでください。
中子は焼いて熱を持っておりますので、差し込み口から煙が出てきますが気にせず中に入れてください。
手で押し込んで止まるところまで入れてください。

⑥木槌で柄の根本を叩いてください。

柄の根本を木槌で叩いて差し込む

手で柄に差し込んでも最後までは入りません。
木槌で柄の根本を叩いてください。
そうすることで、だんだんと刃が柄の中に入り込んでいきます。

マチ(中子の上部)に当たるまでまで叩いて柄に刃を入れて行ってください。
(マチがない種類の場合は刃元から1cm~2cmくらいまで入れてください)

真っすぐに入っているか確認

⑦ 柄の差し込み口にボンドを入れる。

ボンドで柄の隙間を埋めます

柄の差し込み穴にボンドやシリコンをたっぷりと入れてください。

差し込み口に隙間がないか確認してください。

著者紹介About the author

堺一文字光秀

渡辺 潤

自社ブランド「堺一文字光秀」の販売、包丁研ぎ、銘切りをしており、その視点から感じたことや疑問を皆様にお伝えさせていただきます。

監修
一文字厨器株式会社(堺一文字光秀)
〒542-0075 大阪府 大阪市中央区難波千日前 14-8