包丁の刃こぼれ
包丁を使い続けていく上で避けて通れないことの一つが、刃こぼれです。
プロ用、家庭用問わず包丁を使っていて、刃を欠けさせてしまった方も多いと思います。
切るために刃を薄く研ぎ上げている以上、刃先は非常に脆くなっており避けれない宿命です。
なぜ包丁の刃が欠けるのか?
基本的に刃こぼれが起きる原因は誤った使い方をしてしまった時がほとんどです。
誤った使い方とは包丁に不自然な衝撃が与えられる使い方を指します。
その不自然な衝撃として代表的なものが三つあります。「包丁が想定している以上の強い力が加わった時」、「横からの力が加わった時」、そして「凍ったものを切った時」です。
予想以上に強い力が加わった時
これはズバリ、硬い食材を切った時の事です。
硬い食材で最も多いのが、魚の骨と甲羅です。
硬い食材はなかなか切れないので、叩き切るように使ったり、上から押し切るように切ったりすると刃こぼれが起こります。
横からの強い力が加わった時
これは包丁をねじるように切った時の事です。
カボチャなどの皮が硬い物を切る時はなかなか刃が切り進まないので、包丁をこじるように切る時に刃こぼれが起こります。
包丁は縦の力には強いのですが、刃が薄いため横からの力には極端に弱くなります。
凍ったものを切った時
冷凍肉など凍ったものを切った時です。
凍ったもの自体が硬く、そして上手く切れないのでこじってしまい刃こぼれし易くなります。
この場合はの刃こぼれは非常に大きな欠けになり、中には5㎝以上も大きく欠けさした方もいます。
そのため必ず凍った食材には使わないでください。
表面だけ解凍できていても、中が凍ってしまっていることもあります。しっかりと焼きの入った高級な包丁なほど、低温で驚くほど簡単に欠けてしまいますので注意が必要です。
まな板に強く叩きながら切った時
食材を切る時はまな板の上で切ることがほとんどだと思います。
それは食材と同時にまな板も切っていることになります。
そしてまな板は食材と比べて非常に硬い素材で出来ているので、そのまな板に強い力で叩きつけて切っていくと刃こぼれが起こる可能性もあります。
切る時はまな板に叩きつけないようにする、もしくは木製の柔らかいまな板を使用することをお勧めします。
他に考えられる刃こぼれの原因
基本的には刃こぼれは上記に書いています通り、使用中の使い方の問題によって起こることがほとんどです。
ですが、中には使用による問題ではなく他の要因で刃こぼれが起こる可能性もあります。
包丁の錆びが貫通していて虫食い状態になっている場合
これは手入れを怠り、包丁を大きく錆びさしてしまった時です。
錆びが刃の中へ中へと浸透していき貫通してしまったことで研いでも刃こぼれが残った状態です。
包丁を薄く研ぎすぎている場合
包丁は切れるようにするために研ぎますが、中には切れ味を重視して刃を薄く研ぐ方もいてます。
薄い刃は確かに良く切れますが、その反面少しの衝撃でも刃こぼれが起こる可能性があります。
包丁の熱処理に問題がある場合
この可能性はほとんどありませんが、包丁の熱処理に問題があった場合でも刃こぼれがすることがあります。
包丁は焼き入れをして刃に硬度を出しますが、焼き入れの温度管理を誤った場合は金属組織が非常に脆くなり刃こぼれが起きます。
これは製造上の問題ですので、製造元に確認することをお勧めします。
刃こぼれは直せます。
包丁を使ってる最中に刃こぼれしてしまいますと確かに驚くと思います。
中には一度刃こぼれをしてしまった包丁はもう使えないので処分してほしいと言われる方もいます。
ですが、包丁の刃こぼれは小さい物でも大きいなものでもきちんと研ぎなおせば元通りに直せます。
しかしそのためにはきちんとした研ぎ方を知る必要があります。
特に大きく刃こぼれした包丁は元に戻すには少々手間がかかる上、砥石も各種揃える必要があります。
もし自分で研ぎ直すのが難しいと判断したらプロの研ぎ師に修理依頼することも出来ます。
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著者紹介About the author
堺一文字光秀
渡辺 潤
自社ブランド「堺一文字光秀」の販売、包丁研ぎ、銘切りをしており、その視点から感じたことや疑問を皆様にお伝えさせていただきます。
- 監修
- 一文字厨器株式会社(堺一文字光秀)