ペティナイフの研ぎ方
ペティナイフは両刃の包丁ですが、正確には左右対称に研がれているわけではありません。
少し片刃ぎみに研ぐために、右面は丸みがきつく、左面は平らに近い丸みに作られています。
右面を7割程度、左面を3割程度に研いで行きます。
そして和包丁に比べ、よりはまぐり刃に研ぎます。
これからご説明する研ぎ方は初心者の方を基準としたもので、各工程を詳しくご説明しています。
研ぎ慣れた方はこの工程通りに進めなくても、ご自分の判断で工程(小刃研ぎなど)を省略して進めて行っても良いと思います。
ペティナイフを研ぐ上で大事なポイント
刃の厚みを調整する
ペティナイフなどの洋包丁は和包丁のように決まった切り刃がありません、そのため自分で研ぎの角度を決めて刃の厚みを調整する必要があります。
刃の裏表を研ぎ分ける
両刃なので裏表をきちんと研ぐ必要がありますが、研ぎ慣れてきましたら裏表の厚みを研ぎ分けする事をお勧めします。
ハマグリ刃を意識する
和包丁とは違いしのぎを含む片刃と比べて切った物がくっつきやすいので、ハマグリ刃を意識して身離れのいい刃に研ぐ必要があります。
ペティナイフはしっかりと研ぎ抜いた上で刃先をハマグリ刃に研いでいくことが大事になります。
包丁状態を確認する
まず研ぎを始める前に包丁全体を目で確認してください。
包丁研ぎはただ切れ味を戻せばいいという訳ではなく、包丁の正しい形を維持するためにも研ぐものです。
それを意識しないまま研ぎ進めていくと包丁の形が崩れて包丁の寿命が短くなります。
そのために必ず刃の状態を確認する癖をつけてください。
- 刃先の刃線が崩れていないか確認する。
- 表の刃の厚みを確認する。
- 裏の刃の厚みを確認する。
丸くなった刃先を研ぐ
小刃研ぎをします。
切れなくなった状態とは刃先が丸まった状態です。
まずそこを直すために刃を45度に立てて刃先のみ(小刃研ぎ)をカエリが出るまで研ぎます。
使用する砥石は中砥石(#1000)を使用します。
もし包丁に刃こぼれや型崩れが有る場合はこの段階で修正する必要があります。
そのためきちんと包丁の形が元に戻るまで研ぎ続けてください。
刃先に二段刃が出来ます。
刃を立てて研ぐと刃先に小さな二段刃が出来ます。
目で確認しますと光の加減で刃先に白い線が見えますが、それが刃先が二段になっておりこれを「小刃」と呼んでいます。
この小刃(二段刃)が一番刃先の先端になり、ここを基準に研ぎ進めて行きます。
この小刃があることによって、この先研いでいく箇所と刃先の状況が分かりやすくなります。
そして小刃を最初に付けて行くことで、研ぎ進めたときに刃先が薄くなり過ぎないためにも最初に小刃付けすることをお勧めします。
荒砥石で研ぐ
小刃(二段刃)が消えるまで研ぐ。
この二段刃の状態ですと、刃先が厚いのでこのまま刃を付けても鋭い切れ味にはなりません。
そのため刃を寝かせて荒砥石でしっかりと二段刃が消えるまで研いでいきます。
ここでしっかりと研ぎ抜きをしないと刃厚が残ったままになります。
なので刃の厚みが薄くなるまで根気よく研いでください。
研ぎの角度が重要になります。
洋包丁を研ぐ上で大事になってくるのが、この研ぎ抜きをする角度になります。
角度を寝かせて研ぎ幅を広げれば、刃が薄く良く切れるようになる反面刃こぼれし易くなります。
逆に角度を起こして研ぎ幅を狭めれば、刃は厚くなり刃こぼれには強くなりますが、切れ味が劣ります。
研ぎ慣れていない初心者に方でしたら、角度にして10度~15度(硬貨が二枚重ねてくらい)のを目安にして研ぎますとおおよそ3mm前後に研ぎ幅が出来る場合が多いのでまずはこれを基準にして研いでいただき、慣れていく内に自分の好みの厚みを調整するのが良いかと思います。
この荒砥ぎの段階で研ぎ(和包丁でいう切り刃)のこの先のベースを作っておく必要があります。
ここで研ぎムラがあると次の中砥石の研ぎが綺麗に研げません。
上手く研ぐコツ①
切り刃全体を綺麗に当てるコツは、左指で刃先を砥石に押さえつつ、柄を握っている右手首を少し前にひねるイメージです。左指の力が強すぎると刃先が研げ過ぎてしまいますし、右手首をひねりすぎる刃先に砥石が当たりません。
右面についている小刃が消えているか確認してください。
消えているのを確認しましたら反対側の刃先にかえりが出ているかも確認してください。
荒砥石で左面(裏)を研ぐ
左手に持ち替えて反対側の左面(裏)を荒砥石でしっかり研いでください。
裏面は出来る限り平に近づけた片刃気味の刃が理想ですので、表面を研ぐ時より刃を寝かせて研いでください。
反対側にかえりが出るまでしっかり研いでください。
もし完全な片刃研ぎにしたのでしたら裏面は完全に平(ベタ)に当ててください。
側面全面に当てるくらいの意識で研いでください。
ペティナイフにおすすめの荒砥石
中砥石で研ぐ
ここから本格的に刃を付けていきます。
荒砥の時と同じく、中砥石で刃を立てて軽く小刃引きをして刃先に小さな二段刃を作ってください。
ここで強く小刃引きをすると刃が厚くなりますので軽い力で小刃引きしてください。
荒砥の研ぎ傷を消す。
荒砥石で研いだ切れ刃の表面は非常に荒くなっています。
中砥石でその研ぎ傷が消えるまで磨いてください。
刃は非常に薄くなっている状態ですので、刃先を研いでしまいますとカエリが簡単出て刃が減ってしまいますので刃先まで研がない様にしてください。
切れるように刃付けする。
先程荒砥石で研いだ時より少し刃を起こし気味の角度で小刃が消えるまで研いでください。
少し刃を起こすことによって刃先に砥石が当たりやすくなり、刃に丸みがでるハマグリ刃になります。
反対側にかえりがしっかりと出ているか確認してください。
上手く研ぐコツ②
刃先に上手く砥石を当てるコツは、左指は刃先を押さえつつ、柄を握っている右手首を内側に返す感覚で研ぐことです。そうすることによって少しだけ刃が起きますので刃先に当てやすくなります。
裏面も研ぎ直し
反対に持ち替えて裏面もかえりが出るまで研ぎ戻してください。
裏面は荒砥石で研いだ時と同じ角度にしてください。
あまり裏を起こして研ぎますと裏からも丸みが出てしまいますので注意してください。
刃先の小刃が消えているか確認する。
目で刃先全体を確認して小刃が消えているかを確認してください。
もし小刃が残っている箇所が有りましたら、そこ箇所に左指を押さえて研いでください。
小刃が消えている状態を確認出来ましたら基本的にはこの段階でも切れる刃は付いています。
中砥石まで家庭用などの初心者の方やそこまでの切れ味を求めていない方は次の⑤仕上げ研ぎを省略しても問題有りません。
その場合は小刃引きをするに進んでください。
ペティナイフにおすすめの中砥石
仕上げ砥石で研ぐ
中研ぎの時と同じように、仕上げ砥石で軽く小刃引きをします。
刃先に小さな二段刃が出来ているか確認してください。
中砥石の研ぎ傷を消す。
より切れ味を良くするために仕上げ砥石で研いでいきます。
まずは切れ刃全体に出来た中砥石の研ぎ傷を仕上げ砥石で磨いていきます。
カエリが出てしまいますので刃先は研がないでください。
仕上げ研ぎをする。
仕上げ砥石で刃先の小刃が消えるまで研いでください。
仕上げ研ぎをするときは中砥石で研ぐときよりもさらに刃先を意識して研いでください。
裏面も研ぎ直し
反対に持ち替えて裏面もかえりが出るまで研ぎ戻してください。
裏面は中砥石で研いだ時と同じ角度にしてください。
あまり裏を起こして研ぎますと裏からも丸みが出てしまいます。
ペティナイフにおすすめの仕上げ砥石
小刃引きをする
この時点で切れる刃は付いておりますが、この状態は刃先が薄すぎて刃こぼれがしやすくなります。
そのため最後にも小刃引きをして刃先に強度を持たせることをお勧めします。
刃を立てて軽く小刃引きをする。
使用する砥石は仕上げ砥石が理想です。
もし仕上げ砥石がないのでしたらお持ちの砥石の中で一番細かい砥石を使用してください。
その場合はあまり力を入れて小刃引きすると刃厚くなるので軽い力で引いてください。
刃を45度くらいに立てて、刃先全体をかえりがでるまで軽く研いでください。
刃先を確認して全体に白い線(小刃)が出来ているか確認してください。
上手く研ぐコツ④
ペティナイフは小刃が厚いと切れ味が鈍ってしまいますので、1回~2回くらいで小刃を引けるようになれば切れ味と刃の耐久性を両立することが出来ます。
かえりが出ているのを確認しましたら反対に持ち替えましてそのかえりを取ってください。
新聞紙で試し切りをする
研いだ包丁がきちんと刃が付いているか新聞紙で試し切りをして切れ味をチェックしてください。
新聞紙がスムーズに切れましたらきちんと刃が付いています。
もし新聞紙が引っかかる箇所があったらその箇所の刃はまで研ぎきれていません。
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上の通り研いでいるのに上手くいかない。
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著者紹介About the author
堺一文字光秀
渡辺 潤
自社ブランド「堺一文字光秀」の販売、包丁研ぎ、銘切りをしており、その視点から感じたことや疑問を皆様にお伝えさせていただきます。
- 監修
- 一文字厨器株式会社(堺一文字光秀)