白三鋼
白鋼のピュアさをしっかりと持った鋼材
不純物を極力取り除くことで作られる白紙。白紙の中では炭素量が少ないため柔らかく研ぎやすいのが白紙三号です。白紙三号の包丁について、伝統の包丁ブランド、堺一文字光秀が語ります。
「白三鋼」と商品名につくことはあまりない
黄鋼、SK4が安価な鋼材として出回っている中、白三鋼の合わせは今では少し流通量が減った印象です。
またわざわざ「白三」と表示しないことが多いです。鋼材の名前を明らかにするようになったのはここ10-20年くらいのトレンドですので、白鋼の霧研ぎ、改良研ぎなど表現されることが多いです。
※これはお店がどう名付けるかだけの問題ですので、名前から断定はできません。
本焼きで人気
白三鋼が人気なのは本焼きにおいて、です。とくに油焼きの白三の本焼きは刃文が非常に綺麗に出ます。
堺一文字光秀では本焼きは切れ味を重視したいがため白「二」鋼の「水」焼きが本焼きのメインラインナップですが、焼き入れが難しく割れが出やすいため、刃文とリーズナブルさで白三鋼の油焼きを中心に販売されているメーカーも多いです。
見た目が綺麗な本焼をお探しの方は探してみると良いかも知れません。
鋼材マッピング図から見る白三鋼
まず、鋼材が包丁の実力にどう影響するかを把握しておきましょう。
| 鋼材 | 熱処理・鍛冶 | 刃付け | 柄つけ |
切れ味 | ○ | ◎ | ◎ | |
バランス | | △ | △ | ◎ |
メンテナンス性 | ◎ | ○ | ○ | |
上記の通り、
・鋼材は切れ味とメンテナンス性(研ぎやすさと錆びにくさ)に大きな影響を与える
・切れ味には鋼材だけでなく熱処理、刃付けも大きな影響を与える
・包丁の実力は重量のバランスやメンテナンス性も合わせて評価する必要がある
ということは理解しておきましょう。
上記の鋼材マッピングで見ると、こういったポジションになります。
日本で製造される鋼の包丁の中では安価な部類に入りますが、日立金属「白鋼」の特徴を持ちつつリーズナブルで研ぎやすい包丁として今でも人気があります。
成分表から見る白三鋼
和食用の包丁で人気のある日立金属の白二鋼に比較すると、わずかに炭素の含有量が少ないことがわかります。
ただ、もろさの原因になるリン(P)や硫黄(S)の含有は白二鋼や青二鋼にも遜色の無い、ピュアな鋼材ということがわかります。
なぜ堺一文字光秀では白三鋼の取り扱いが少ないのか
現在堺一文字光秀では、白三鋼は在庫限りになっています。
価格と実力のバランスから見ると良い鋼材ではあったのですが、最近はそうでもなくなってきたためです。
近年は鍛治屋が減少傾向で、残された鍛治屋としては単価の安い鋼材での仕事が受けにくく
白三鋼の価格も上げざるを得なくなっているという背景があります。価格を据え置いた商品でまだ少し在庫はありますが店頭のみでの販売となっておりますので、ご興味ある方はお問い合わせくださいませ。
まとめ
・白三鋼は安価ながらピュアで研ぎやすい素材
・キレイな模様が出やすく、油焼本焼に使われる
・鍛冶師の減少により、近年は価格が高くなってきた
堺一文字光秀は、白三鋼の包丁をオンラインで販売しておりません。
店頭にはいくつかございますので、ご希望の方は下記よりお問い合わせくださいませ。
著者紹介About the author
堺一文字光秀
田中諒
「切れ味で、つなぐ」堺一文字光秀三代目当主。 職人の技術と歴史、そして包丁にかける思いを皆様に届けて参ります。 辻調理師専門学校 非常勤講師 朝日新聞社 ツギノジダイ ライター
- 監修
- 一文字厨器株式会社(堺一文字光秀)