スチール棒(研ぎ棒)
形状からして普通の砥石と大きく異なる研ぎ棒には、当然研ぎ棒用の研ぎ方があります。スチール棒の使い方やメリットを、伝統の包丁ブランド、堺一文字光秀が語ります。
スチール棒とは
海外のドラマや映画の中で料理人が包丁を棒にこすり合わせて、シュッシュッとしているのを見たことがある日とも多いと思います。
他にもお肉屋さんで肉を解体している時やホテルのディナーの時に料理人の横に置いていたりしているのを目にした方もいると思います。
あれはいったい何をしているのだろうと思ったことあるのではないでしょうか?
刃先の脂取りをしています。
研ぎ棒と言うからにも研いで切れ味を戻していると思う方が多いでしょうが、半分不正解です。
スチール棒を使用する一番の目的は刃先に付いた脂や灰汁を取り除くためにあります。
肉を切っている時に急に食い込みが悪くなってツルツル滑る感覚になったことはありませんか?
それは刃に脂がこびり付いて食材の上で滑るようになってしまったためです。
こびり付いた脂は洗ってもなかなか取れないですし、仕事中にそこまで手間がかかる事をするのは大変です。
その時にスチール棒で刃先をすり合わせて脂を取り除いているのです。
スチール棒の使い方
- スチール棒の先端はマグネットになっている物が多く、先端を金属の箇所に固定することが出来ます。
- 左手にスチール棒を持って、包丁を右手で持ちます。
- 角度を固定して、刃元から切っ先へ滑らすように包丁を動かしてください。
- 反対側も同じ要領で刃元から切っ先まですり合わせてください。
- 両面を交互に5~10回くらいすり合わせたら終わりです。
スチール棒で研ぐことは出来ないの?
それじゃあスチール棒は刃先の脂取りに使用するだけで、研いで切れるようには出来ないのか?
これは包丁の種類によります。
少なくとも当社の堺一文字光秀の包丁ではスチール棒で切れ味を戻すことは出来ません。
日本の包丁は硬度が高いため
それはなぜかと言いますと、当社の包丁を含め日本の包丁は切れ味を鋭くするため刃の硬度が高くなっております。
反面硬い刃はとても研ぎにくく、スチール棒の持っている研磨力では全く足らず刃を付けることは出来ません。
それと比べ外国製の包丁は日本の包丁より刃の硬度が低く、柔らかいためスチール棒で多少切れるように戻すことが出来ます。
研げるスチール棒もある
ですが、スチール棒の中でも日本の包丁も研いで切れ味を戻すことが出来る物もあります。
それがダイヤモンド砥粒を付着させている「ダイヤモンドスチール棒」になります。
ダイヤモンド砥石のページでも紹介していますが、ダイヤモンドの砥粒は角が立った鋭い砥粒で、表面に突き出すように付着させているため研削性がとても高いです。
このダイヤモンドスチール棒で刃を目立てすれば、ある程度切れる刃に戻すことは出来ます。
著者紹介About the author
堺一文字光秀
渡辺 潤
自社ブランド「堺一文字光秀」の販売、包丁研ぎ、銘切りをしており、その視点から感じたことや疑問を皆様にお伝えさせていただきます。
- 監修
- 一文字厨器株式会社(堺一文字光秀)