洋包丁
洋包丁とは?
洋包丁とは西洋料理に使われる包丁を指します。
日本における包丁が和食に使われる用途が主だった時代の名残で「和包丁」「洋包丁」と呼び分けられますが、和食に特化していない包丁(魚でなく肉食中心の包丁)=洋包丁と考えて差し支えありません。
西洋料理の万能包丁を「牛刀」と呼ぶのは牛などの肉食を中心とした食文化の包丁であるからという理由です。料理のジャンルが包丁の呼び方に影響していると言えます。
繊細な作業や切り口の美しさを重視する和包丁と比較し、洋包丁は素材を速く、均一に切る形状をしています。また傾向として和包丁よりもタフで欠けにくい作りになっています。
包丁店や包丁作りの現場で使われる意味合いとしては
洋包丁とは
和食向けでない牛刀、筋引、ペティナイフに代表される両刃包丁もしくはカシメハンドルの包丁の総称
です。 近年は海外での人気も相まって、外国の方からは「和包丁=日本製の包丁(両刃、かしめハンドル含む)」という認識をされているケースもあります 。
ちなみにカシメハンドルとはこれのことです。中子を木材で挟んで固定(カシメて)しているか、中子をハンドルに刺して固定しているかの違いです。 おおよその場合、カシメハンドルが洋包丁です。
※ハンドルだけで判断できないのは、差し柄の洋包丁やカシメ柄の和包丁が作られるようになったためです。
また洋包丁は多くの場合両刃形状、和包丁は多くの場合片刃形状となります。
※こう区別している包丁屋も多いと思います。厳密に言うと骨スキやガラスキなど片刃形状の洋包丁もあります。
少し定義が広いため包丁屋さんに行くときは「洋包丁を探している」というよりは、「用途やなぜ必要なのか」と相談した方がスムーズに進むはずです。
洋包丁の種類
では、洋包丁の種類について調べてみましょう。本来は和包丁同様無限に種類があるのですが、基本的なもののみ抜粋します。
牛刀
180-330mmくらいの刃渡りで、(210-240mmがスタンダードなサイズ)肉、野菜と骨や冷凍食材以外なら何にでも使える万能包丁です。
ペティナイフ
90-180mmくらいの刃渡りで(125-150mmが主流)野菜の下処理や果物を切るのに使われる小回りのきく包丁です。
筋引
180-330mmくらいの刃渡りで(主流は240-270mm)肉の筋を切ったり、ブロックを解体するのに使われる細身の包丁です。1ストロークで長く切れ、その細さで食材の圧力もかかりにくいため細身の魚の刺身やカルパッチョにも便利です。
洋出刃
180-270mm程度の刃渡りで(210-240mmが主流)、両刃で厚みのある包丁です。骨付き肉、カニ、半冷凍食材、鶏ガラを切るのに使います。刃が強靭で重みもあるので、たたき割る使い方もでき、欠けの心配も他の包丁に比較して少なく便利な包丁です。
骨スキ(さばき)
鳥を捌いたり、肉の解体に使用する包丁です。片刃形状になっており、比較的厚みもあるため小回りが効いて丈夫です。魚を捌く人もいます。
洋包丁の構造
では、洋包丁の構造を見てみましょう
部位の特性を理解し、研ぎを覚えることが重要です。
切っ先 包丁の先です。細かい作業に使います。刃先までしっかり刃をつけること、細くしすぎて強度を欠かさないようにしたい部分です。
みね 良い包丁は刃元のみねから切っ先に向かうにつれて少しずつ薄くなっています。これはバランスを整えるためで、疲れにくさと取り回しの良さが全然違います。
口金(口輪) 口金は重さのバランスを整えるためについています。ハンドルの強度も上がります。溶接されていることでより衛生的かつハンドルの寿命が伸びます。
鋲 ハンドルと刃を固定するために付けられています。中には飾り鋲など意匠が凝らされたものもあります。
あご 基本は直角に近い形状ですが、指あたりをよくするため丸めていたり、刃側に角度を大きくするケースもあります。
切れ刃 この部分の肉の抜き方や角度で刃の進みやすさ、研ぎやすさが決まります。
刃先 この処理で包丁の入りやすさと欠けにくさが決まります。 切れ刃と刃先の形状が切れ味を決定づける最も大きな要素と言えるでしょう。
まとめ
「洋包丁」と一口に言っても用途によって必要な特性が全く変わります。こちらで選び方のフローチャートと、包丁の種類をまとめた表を載せておりますので包丁選びに是非お役立てください。
ジャンル | 用途 (詳細説明にリンク) | 種類(商品一覧にリンク) | イメージ(商品にリンク) | |
洋包丁 | 肉/野菜など万能に使いたい | 牛刀 | ||
肉や筋を切りたい | 筋引 | |||
果物など小回りの効く一本 | ペティナイフ | |||
小骨など硬いもの | 洋出刃 | |||
鳥の肉と骨を分ける | 骨スキ | |||
鳥の軟骨や関節を切る | ガラスキ | お問い合わせください | ||
パンを切りたい | パン切り |
著者紹介About the author
堺一文字光秀
田中諒
「切れ味で、つなぐ」堺一文字光秀三代目当主。 職人の技術と歴史、そして包丁にかける思いを皆様に届けて参ります。 辻調理師専門学校 非常勤講師 朝日新聞社 ツギノジダイ ライター
- 監修
- 一文字厨器株式会社(堺一文字光秀)