牛刀
肉、野菜、魚に使える万能な洋包丁として知られる牛刀。和食を除く飲食店の方にとっては最も使用頻度の高い包丁です。(和食のお店でも活用されているケースは非常に多いです。)牛刀の使い方を、伝統の包丁ブランド、堺一文字光秀が語ります。
選び方だけを詳しく解説したページもありますので、先にそちらを見たい方はどうぞ。
牛刀ってどんなのがあるの?
早速牛刀を見ていきましょう。
気になるものはありましたか?どれも我々が厳選した包丁ですので、しっかり愛着を持って使って頂けるのであれば、インスピレーションで選んでしまうのもアリです。
「値段で何が違うの?」
「ステンレスと鋼どっちがいいの?」
「鋼材でそんなに変わるの?」
こんな疑問が浮かんだ方は是非下記の記事を読み進めてください。本記事では、牛刀の概要のみ説明しています。
そう、一口に牛刀と言っても色々種類があるのです。
牛刀=牛を切る包丁?
実は、牛刀は肉用の包丁というわけではなく、「西洋万能包丁」という捉え方の方が実態に近いです。
牛刀は野菜を刻むのにも活用しやすいのに対し、牛肉のみを扱うのなら、身が細い「筋引」と呼ばれる包丁の方が筋を切ったり、ブロックを切る時に使いやすいため適しています。
もちろん牛刀でも牛は切れますが、もともとは「西洋料理の包丁=牛肉を食べる文化の包丁=牛刀」ということで牛刀と呼ばれています。江戸時代から昭和初期までは「料理といえば和食、包丁といえば片刃」だったんですね。
言葉の定義が変わってくる可能性もありますが、少なくとも2020年前後でのプロの現場では
万能包丁=牛刀
肉屋でメインに使う包丁=筋引
という実態があります。
牛刀のサイズ
牛刀は、種類によりますが刃渡り180-330mmくらいまで、30mm刻みであります。
用途の比率によっておすすめのサイズが異なります。
180mm-210mmの牛刀がおすすめな方
例えば
・万能包丁として使う
・家庭用が欲しいが、細身が好み
という方は、180mmの牛刀をおすすめしています。ご家庭用で三徳の代わりとしても人気です。三徳との違いは下記図と、リンク先記事「家庭用包丁」を参考にしてください。
210-240mmの牛刀がおすすめな方
・レストランの調理全般に使いたい
・大きい食材も小さい食材も万能に使いたい
という方は、210mm-240mmの刃渡りをおすすめしています。
ブロック肉からトマトまで、万能に使います。プロ用の包丁で最も流通が多いのがこのサイズです。
270-330mmの牛刀がおすすめな方
・仕込みで大量に野菜や魚を下処理をする
・大きな食材を切り分けたり解体する作業が多い
という方は、270mm以上の刃渡りをおすすめしています。
例えばキャベツを大量に千切りにする、市場でマグロを大量に処理するなど。
牛刀の研ぎ方
包丁店の立場から言うと、切れ味が悪くなった際は砥石での研ぎに是非チャレンジ頂きたいところです(切れ味が全然違います)が、研ぎで切れ味を戻すという作業は自転車に乗るようなもので、
「慣れてしまえば簡単だが、最初のチャレンジでは難しい」と思います。
研ぎに慣れない間は「砥石を使うことでより切れなくなった」ということもザラにあります。
※もちろんそうなってしまった後でももう一度研ぎ直せます。是非こちらを読んで、チャレンジしてみてください。
シャープナーやお皿の裏、スチール棒などで刃先を荒らすことで、一時的に切れ味を取り戻すことができます。
そう、「一時的に」です。どんなに高級なシャープナーも「研いでいるのでなく刃先を荒らす」道具です。
刃先を荒らすことで、食材に引っかかりやすくするという理屈です。
良い包丁を購入したのであれば、定期的(年に一回だけでも全然違います)にプロに研いで貰いましょう。
ただ、常時30分以内に返して貰えるような研ぎ屋さんは要注意、機械工程が多めの研ぎサービスは、余計に削ったり、傷がたくさんついてしまう可能性があります。
お時間はいただきますが、我々は荒砥石から仕上げ砥石まで6種類の砥石を手で当てます。多くの新品よりも切れ味が良い状態でお返しできているはずですので、ご興味ある方は是非お問い合わせください。
まとめ
・牛刀は牛専用ではなく万能包丁
・180mmは家庭用にもおすすめ
・210-240mmはレストランでの万能包丁
・270mm-330mmは食材の仕込みが多い人におすすめ
・定期的なメンテナンスは必須
著者紹介About the author
堺一文字光秀
田中諒
「切れ味で、つなぐ」堺一文字光秀三代目当主。 職人の技術と歴史、そして包丁にかける思いを皆様に届けて参ります。 辻調理師専門学校 非常勤講師 朝日新聞社 ツギノジダイ ライター
- 監修
- 一文字厨器株式会社(堺一文字光秀)